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「突撃取材」シリーズ『酸漿山(かがちやま)に住む仙人』

世捨て人、元囚人、忍者の末裔など、一風変わった人々にその生涯を取材する「突撃取材」シリーズ。今回は新潟県阿賀野市に位置する酸漿山(かがちやま)の奥深くに住むという仙人を突撃取材しました。

 

 

 

3月某日、我々取材班は「酸漿山には仙人が住んでいる」という近隣住民からの情報を入手し、新潟県阿賀野市に来ていた。さすが新潟、3月と言えどその寒さは未だ健在だ。神山駅近くで車をレンタルし、約30分。我々は酸漿山に到着した。

酸漿山には、その名の通りホオヅキが多く自生している。ホオヅキは6月から7月頃に黄色い花を咲かせ、その花にはやがてオレンジ色の袋状の実が生る。我々が訪れた時にはまだ芽が出たばかりだったが、夏には遠くからでも分かるほど、山が紅く色づくという。

酸漿山は標高1566mで傾斜が強く、さらに道も舗装されておらず、山にあまり慣れていない我々には厳しいものだった。本当にこんな所に人が住んでいるのだろうか。取材班は不安に駆られた。

 

山を登り始めて1時間ほど経った頃に、取材班のメンバーである野口が何かを発見した。どうやら衣服のようだ。だが、山の中に捨てられていたにしては綺麗すぎる。洗濯物が風で飛ばされたようにも見える。まさか本当に仙人が住んでいるのだろうか。

さらに30分後、今度は別のメンバー、北里が別の衣服を見つけた。こちらも綺麗な状態であり、ますます期待が高まった。

 

登山を開始して3時間後、取材班のメンバーである新渡戸が声を上げた。

「あっ、あれ!見てください!」

新渡戸の指差す先には木造の小屋があった。我々は小屋に駆け寄り、戸を叩いた。すると中から老人が現れた。もしや、この人が仙人なのか?

「突然失礼します。我々は講人社の者なんですが、この酸漿山に住むという仙人について調査しておりまして。もしかして貴方が仙人ですか?」

「あんたら、ここは私有地だぞ。不法侵入で警察に通報するぞ」

 

 

 

今回の取材では、我々取材班は酸漿山に住むという仙人は発見できなかった。仙人は本当に存在するのだろうか。仙人はこの地に根付く郷土信仰によって生み出されたものなのかもしれない。謎は深まるばかりである。