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単純明快バトロワゲー『じゃんけん』先行体験会プレイレビュー

『Fortnite』や『PUBG』、最近では『Apex Legends』など、今なお人気絶頂のいわゆるバトルロイヤルゲーム。そこに新たな風が吹き込まれようとしている。

斬新で単純明快なシステムが話題を呼んだ、Drifters Entertainment開発の『じゃんけん』である。

 

『じゃんけん』は発表直後から大きな反響があり、2019年3月2日に開催されたゲームイベント『Game Maniacs』にて行われた先行体験会には、大勢のバトロワマニアが押し寄せた。

今回は、この先行体験会で実際に『じゃんけん』をプレイした筆者が、その特徴と魅力を書き連ねていきたいと思う。

 

決着まで最短3秒、単純かつ奥深いゲームシステム

『じゃんけん』は今までのバトロワゲーとは一線を画す。ゲームが始まった後、プレイヤーは何をすればいいのかというと、

 

最初から所持している「グー」「チョキ」「パー」と呼ばれる武器の中から、どれか1つだけ選んで出す

 

これだけ。

本当にこれだけなのだが、それでもしっかりと勝敗がつくのだ。

もう少し詳しく説明すると、これらの武器にはそれぞれ「相性」がある。例えば「グー」は「チョキ」には勝てるが「パー」には負けてしまう。その他の相性は下図の通りだ。

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ちなみに、1種類の武器しか出なかったり、逆に3種類全ての武器が出た場合は「あいこ」となり、もう一度武器を1つ選んで出す。さらに勝者が複数人いる場合、勝者のみでまたゲームが行われる。これを繰り返していき、残った最後の1人が優勝となる。

このように、ゲームシステム自体は非常に単純だ。しかし実際にプレイしてみると、場の緊張感やプレイヤー間の心理戦、そして勝った時に得られるカタルシスなど、様々な魅力が『じゃんけん』には詰め込まれていることが分かる。

 

かつてない盛り上がりを見せた先行体験会

先行体験会では、50人による大規模戦闘が行われる「大戦」コーナーと、1対1の「対戦」コーナーの2つが用意されていた。ゲームをするための規定人数が幅広いのも『じゃんけん』の特徴だ。筆者は「大戦」「対戦」の両方に参加したが、それぞれが異なる魅力を持っていた。

 

「大戦」では大人数が同時に勝負をすることになるのだが、勝敗は容易には決まらない。武器を構える時の緊張感、そして出した後の緊張の緩和、これらが交互に繰り返され独特の空気感を作り出している。そしてようやく勝敗がついた時、勝者はひとときの優越に身を委ね、敗者は敗北の味を噛みしめることになる。そんな戦場を駆け抜けて、ただ1人生き残った猛者の心中は如何様か。1回戦負けの筆者には知る由も無い。

 

一方、「対戦」ではまた違った空気が流れていた。なにしろ戦う相手はただ1人。「大戦」では戦場を形成する大多数の1人でしかなかったとしても、ここでは間違いなくどちらも主役である。そこから生まれる権謀術数は計り知れない。

また「対戦」は、1対1というシステム上、所要時間が「大戦」と比べると非常に短い。そのため、繰り返し参加する人が多く見受けられた。

 

開発陣コメントから見えてきた、バトルロイヤルゲームのこれから

先行体験会後には、メディア向けの質疑応答が行われた。(全てのQ&Aは別記事から)

ステージ上には、『じゃんけん』エグゼクティブ・プロデューサーのケン・シミュラ氏とリード・デザイナーのチョー・カリヤ氏が登壇し、記者たちの質問に答えた。その中でも注目したいのは、ある記者による「『じゃんけん』が最終的に目指しているのは何か」という質問に対するシミュラ氏の回答だ。

 

「私たちの理念として、これは『じゃんけん』に限った話ではないのですが、「普遍的な面白さ」というのがあります。ディティールにこだわるのもいいですが、何よりもそのゲームの本質やその面白さがしっかりと伝わらないといけない。そのために、あくまで根本は王道、すなわち普遍的なものであるべきだと考えています。「それじゃ単調でつまらないものになってしまうのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんね。…それはまあ体験していただいた通りです。(笑)

とにかく、私たちはこの『じゃんけん』でバトルロイヤルの本質、それを存分に楽しんで欲しいんです。えーと、質問は「『じゃんけん』が最終的に目指しているもの」でしたね。少し大袈裟に言うと、バトルロイヤルゲームの「礎」ですかね。生意気に聞こえるかもしれませんが、本気です。私たちは皆バトルロイヤルゲームの大ファンです。だからこそ「礎」となるものが出来ると思っています。」

 

Drifters Entertainmentは、設立されてから2年足らずの、言うなれば若手である。大手のバトロワゲーに対抗するには力不足ではないかと感じる人も少なくないだろう。しかし、この先行体験会ならびに質疑応答で受けた印象は、決してそのようなネガティブなものではない。むしろ、バトルロイヤルというジャンルの新たな開拓者であり、後に続く開発者達の道しるべとなるような、そんな頼もしい姿に見えた。

ますます白熱していくバトルロイヤルゲーム界隈、その中でも『じゃんけん』はひときわ目が離せなくなるであろうことを予感させる先行体験会だった。