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東大入試国語 新傾向問題を徹底解説

ご存知の方も多いと思いますが、昨年度の東大入試の国語で新傾向の問題が出題されました。

これまで東大国語は、理系は現代文、古文、漢文がそれぞれ一題ずつ、文系は現代文二題と古文漢文が一題ずつだったのですが、昨年度は理系と文系両方に「なぞなぞ小問集合」が一題ずつ追加されました。受験生の柔軟な思考力を測る意図があると推測されます。

今回はこの「なぞなぞ小問集合」について詳しく解説したいと思います。

 

 

 

なぞなぞの基本的な解法プロセス

解説に移る前に、なぞなぞの基本的な解法プロセスについて簡単に説明したいと思います。

 

なぞなぞは基本的に

分解→分類→分析

の三つの過程で解きます(これを三分という)。

 

『分解』で問題文を区分けし、

『分類』で区分けした文を種類別に分け、

『分析』でなぞなぞの解答を作成します。

 

具体的なプロセスについては、実際の入試問題を解説しながら説明しようと思います。とりあえず「こういう風に解いていくんだな」というのが分かればOKです。

 

 

東大国語「なぞなぞ小問集合」解説

「なぞなぞ小問集合」は全部で四問からなる大問で、点数は理系文系どちらも20点です。一問ずつ見ていきましょう。

 

(一)ボールはボールでも四角いボールは何か、答えよ。

解法プロセスに沿って解いていきましょう。

 

まずは『分解』。問題文を区分けする時は、基本的に助詞ごとに分けます。ですので、

ボールは/ボールでも/四角いボールは/何か

という風に分けます。「四角いボールは」を「四角い/ボールは」と分けても構いません。大事なのは、問題文を見やすくすることです。

 

次に『分類』。区分けした文は「条件」「主題」の2種類に分けられます。「条件」は一問につき複数あるのに対して、「主題」は基本的に一問につき一つです。これを踏まえて区分けした文を『分類』すると、

ボールは(条件)/ボールでも(条件)/四角いボールは(主題)/何か

となります(「何か」は分類不要)。

先ほどの『分解』で「四角い/ボールは」と分けていた場合は、

ボールは(条件)/ボールでも(条件)/四角い(条件)/ボールは(主題)/何か

となります。

 

次に『分析』。主題は「四角いボール」なので、そこに条件を肉付けすることで解答を絞っていきます。

『分類』した文を見ると、条件には「ボールは」「ボールでも」とあります。ここから、出題者が求めているボールは「本当の」ボールではないということが推測でき、また解答は「ボール」という単語で紐付けられたものであることがわかります。

そして「四角い」とありますので、ここからさらに解答候補を絞れます。

東大国語の現代文を読み解ける力があれば、もうお分かりでしょう。

正解は「ダンボール」でした。なぞなぞの基礎がちゃんと身についていれば、苦戦することはないでしょう。正答率も高いと思われます。

 

(二)反対からでもしっかりと読むことが出来る紙は何か、答えよ。

では早速『分解』していきましょう。

反対からでも/しっかりと/読むことが出来る/紙は/何か

といった感じでしょうか。

「読むことが出来る」を「読むことが/出来る」と分けても構いませんが、少々くどい気がします。

 

次は『分類』です。

反対からでも(条件)/しっかりと(条件)/読むことが出来る(条件)/紙は(主題)/何か

となります。

 

そして最後に『分析』。条件を見ると、「反対からでも」「しっかりと」「読むことが出来る」とあります。

「しっかりと」は、どんなものでも頑張れば反対から読めるのではという指摘をあらかじめ潰しておくための条件と思われます。ですから、重要視すべきなのは「反対からでも」と「読むことが出来る」の二つです。

次に考えることは、「反対」の解釈です。単純に「逆さまにして読む」ということでは無いのは、「しっかりと」という条件から推測出来ます。とすると、考えられるのは「文字を逆から読む」。そして主題が「紙」であることを踏まえると、正解は「新聞紙」であることが分かります。

 

(三)よんでもよんでも返事をしないものは何か、答えよ。

問題文を『分解』すると、

よんでもよんでも/返事をしない/ものは/何か

という風になります。

 

区分け文を『分類』すると、

よんでもよんでも(条件)/返事をしない(条件)/ものは(主題)/何か

となります。

 

最後に『分析』です。条件は「よんでもよんでも」と「返事をしない」の二つです。

ポイントは「よんでもよんでも」の表記です。「呼んでも」をわざわざひらがな表記で書いているのですから、何かしらの意図があると考えるべきです。そう、同音異義語です。「よんでも」が「呼んでも」ではなく「読んでも」ならば「返事をしない」という条件も満たします。

ここで正解は複数考えられますが、主題は「もの」なので一般的な名称を用いるべきです。よって正解は「本」と考えられます。

 

(四)どんなに頼んでも絶対売ってくれない仕事は何か、答えよ。

では『分解』します。

どんなに頼んでも/絶対/売ってくれない/仕事は/何か

このようになります。

 

これを『分類』すると、

どんなに頼んでも(条件)/絶対(条件)/売ってくれない(条件)/仕事は(主題)/何か

となります。

 

最後に『分析』です。条件は「どんなに頼んでも」「絶対」「売ってくれない」です。

まず今回は、主題の「仕事」に注目しましょう。条件の「売ってくれない」と合わせて考えると、接客業であることが分かります。また、「絶対」という条件からこの「仕事」が物を売る職業ではないことから分かります。なぜなら、「絶対」や「必ず」といった「100%そうだ」ということを決定付ける条件は、あらゆる状況で成り立つことを意味している、つまり例外無くそのことが成り立たなければいけません。ですので、もし「仕事」がものを売る職業ならば、例外無くものを売ることがないと言い切ることは出来ないので、「絶対」は使用出来ないはずです。

以上より「売ってくれない」は文字通りの意味ではなく、何か他の意図があることが分かります。そこで考えるのが言い換えです。「売ってくれない」を言い換えると「売らない」。もう分かりましたね。正解は「占い」でした。

 

 

 

いかがだったでしょうか。もしこの記事があなたのお役に立てたのなら幸いです。また機会があればお会いしましょう。さようなら。