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読んだことのない名作漫画の感想

今日は全く読んだことのない名作漫画『宇宙兄弟』の感想を書きたいと思います。ネタバレもガンガンします。

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その前に、簡単にストーリー解説を。

 

 

物語の舞台は2130年、人口増加により人類のおよそ半分が火星に移住した世界です。

火星で生まれ、火星で育った二人の兄弟(黒髪が兄、金髪が弟)はある日、地球に住んでいる祖母の元へ遊びに行くことになりました。そこで二人は宇宙飛行士だった祖父が遺した宇宙に関する様々な資料を見て、宇宙に憧れを抱くようになりました。

そして15年後、兄はJAXAの宇宙工学者に、弟は同じくJAXAの宇宙飛行士になりました。しかし、それまでの道のりは決して楽なものではありませんでした。

 

だいたいこんな感じのストーリーです。

では感想を。

 

この漫画の魅力として最初に挙げられるのは、なんといっても主人公である兄弟二人の成長です。兄は大雑把で、先の事を考えない楽観的な性格で、弟は対照的に、几帳面で、常に一歩先を見据えて行動する慎重な性格です。そんな二人ですから、時には衝突することもあります。特に5巻での二人の宇宙観(なんだか変な言葉ですがそうとしか言えない)が衝突した時の二人の心情表現は流石といったところ。ファンからの人気も高いシーンです。

この漫画は16巻までがJAXAに就職するまでの二人の成長を描いたもので、17巻からはJAXAに就職した二人が業務をこなしていく中での、同僚達との切磋琢磨がメインで描かれています。

僕がその中でお気に入りのシーンは、木星の衛星「エウロパ」の探査ミッションで、弟を含む宇宙飛行士4名が探査船の不備により、危険に晒されるシーンです。この事故の前に、2人のメンバーの間でイザコザがあったのですが、それを乗り越え、生きるために全力を尽くす4人の宇宙飛行士の姿には、思わず涙を流してしまいました。

 

宇宙兄弟』には国籍も個性も違う様々な人物が登場します。彼らの価値観や主張が交錯する様子はとてもリアルで、考えさせられるものがあります。現代日本において、「漫画」というものは気晴らし、娯楽としか見られていません。ですが、この『宇宙兄弟』には娯楽の一言では片付けていけないような、拙い語彙で表現するとしたら「生きざま」のようなものがあります。それは『源氏物語』や『土佐日記』といった日本の中古文学に通じるものであり、また現代まで文学が紡いできたものの一つであります。だとしたら、この『宇宙兄弟』もまた、現代における「文学」と言えるのではないでしょうか。

 

 

宇宙兄弟(1) (モーニング KC)

宇宙兄弟(1) (モーニング KC)